茶と日本人の関わりを総合的に捉えた「日本人と茶」展が10月14日(月)まで京都国立博物館で催されています。
第一室に入るとなんとも取っ付きがたい「茶経」を眼にする。分からないので解説を読むと唐の陸羽(?〜804)が茶の歴史・製法・器具などについて著したもので、中国の茶に関する最古の書とある。ふーん、中国ではこんなに古くからお茶が飲まれていたのか。少し驚き。続いて横を見ると、何じゃこの汚い「緑釉陶器釜・椀」は。解説で、これは興福寺一乗院からの出土品で八世紀のもの。これらを喫茶具と考えると、日本における喫茶が奈良時代末にまで遡ることになる。ヘーえ、日本人も奈良時代にお茶を飲んでいたのか。だんだんと今回のこの展覧会の魅力に引きずり込まれていきました。
国宝や重文などの作品にはあらためてため息はでるけれども、出土品とか欠けた作品なども多く陳列してあります。また、いまでは余り貴重品ではないようなものが、当時は非常に高価なものだったことなどが分かります。例えば、作品58の金沢貞顕書状で分かる「茶臼」など。
作品44夢中問答集で夢窓疎石(1275〜1351)は、茶は本来眠気を覚まして学問の助けとするものなのに効能を知らない人まで喫茶の習慣が広まっていると嘆きます。以後世間では闘茶が隆盛したり、また禅院では喫茶儀礼すなわち茶礼(僧侶の守るべき行儀作法)が導入されます。茶と禅宗がいかに深く結びついていたかが窺われます。後に茶の儀礼化という茶の湯につながっていきます。
屏風や絵巻物も展示されており、その中に移動喫茶が描かれていたり、富士を見ながらの喫茶など、それらがどこに描かれているか探すのも面白いです。
日本人にとっては、これから何百年と時代が進んでいっても、お茶の習慣は変わらず、我々に癒しを与えてくれるでしょう。